定年退職者が余生を過ごす場所、また英語の語学留学先としてセブ州をもっと海外に売り込もうという機運が、官民に出てきたもようだ。フィリピン退職者庁（PRA）は先週、「退職者の第2の故郷（セカンドホーム）」としてのセブを世界に宣伝する方針を表明。また地元経済団体のひとつセブ・ビジネス・クラブ（CBC）は、セブの国際的な英語教育ハブ化に向けて動く構えをみせている。スター系セブ地方紙フリーマン（電子版）が伝えた。

　セブの定年退職者セカンドホーム化構想は、PRA長官を兼ねるデュラノ観光相が明らかにした。同相は、国内の他の地点もセカンドホーム化構想に入っているとしつつも、セブは重要との考えを示し、定年退職者誘致に向けた商品と支援サービスを一体化し効果を上げるため、直ちに手を打つと述べた。
　
「長期滞在者や退職者にとって、さらに魅力的な場所にする必要がある」とデュラノ観光相は話す。既に一部の開発業者から、長期滞在者や退職者、および海外の不動産開発業者の誘致に向けた商品が打ち出されているという。また同相は、退職者誘致に関して国内の主要外国商工会議所とも作業を進めていると明らかにした。
　
　国際不動産仲介大手の米CBリチャードエリス（CBRE）は、セブが医療観光の客や退職者の誘致を行うには、適切なインフラ整備が必須と指摘している。「そうすれば、リピーターだけでなく、コンドミニアム（マンション）を購入して、セブをセカンドホームにする人も増える」というのが同社の見方だ。
　
　■語学留学生「3倍増可能」
　
　一方、CBCのジョセフ会長は、セブを正式に「第2言語としての英語（教育）」の国際ハブにするため、CBCとして内外の大学関係者、および教育省と関係機関の代表を近く招待すると明らかにした。同会長は、「セブが英語教育の国際ハブになり得るという点は、政府からまだあまり注目されていない」との認識を表明。同ハブ化の推進役を担う官民によるプロジェクトチームの組織に向けて、CBCが音頭を取る方針も示した。
　
　現在、セブでは3万～5万人の外国人が、第2言語としての英語を学ぶため留学しているといわれる。「公的な機関が、適切な政策とプログラムをもってセブへの語学留学を世界に売り込めば、語学留学生は3倍に増えるはず」というのが同会長の読みだ。
　
　今のところ、セブで英語を学んでいる外国人は、韓国人をはじめ中国人、アラブ人が主流とされる。ジョセフ会長は、「これらの市場に限定すべきではない。世界、特にアジアには、しっかりした英語を学びたいという人々がもっとたくさんいるはずだ」と、さらなる市場開拓を訴えた。
　
　「セブには既に、公式・非公式合わせてかなりの英語教育機関があるが、数を増やすともに、高い質の維持に向けた正式な（英語教育水準の）認定制度が必要だ」とジョセフ会長は話す。「認定は、国際的な認定機関による適切な（権威ある）ものでなければならない」というのが、同会長の指摘だ。また、語学留学生が安心して過ごせるよう、治安の確保も重要との認識を示す。
　
　ジョセフ会長は、「セブは、1～2カ月の短期語学留学生誘致で満足してはダメ」と強調。英語教育ハブ化が成功すれば、観光業、情報通信技術（ICT）産業に続く、セブ経済の新たな稼ぎ頭になるとみている。
　
　現在、セブ大学（セブ市）、サン・カルロス大学（同）など州内の複数の大学が、外国の教育機関と提携して英語の語学留学課程を設けている。韓国の自治体の中には、選抜した小中学生をセブに送り込み、英語を学ばせるところも出ているという。

 

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